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第2弾「ポちの超短編小説」   〜おばーさんの死と鹿〜 2004.3.11

 昔むかしある山のふもとのそばの村2丁目あたりに(村なのに・・)おぢいさんと犬のポちが何気なく且つ、普通に住んでいました。

おばーさんは去年日本脳炎をこじらせて(たぶん)死んでしまいました。

だけど、おぢいさんとポちは根っかの江戸っ子気質を最大限にフル活用し、落ち込んだ様子も92.5%ぐらいしか見せず(充分じゃんっ!)今日もハッスル気分丸出しで山のほうへ出かけました。(時々スキップも交えながらね)

おぢいさんは先祖代々鉄砲打ちの家の隣の家に生まれたらしく(隣なんだ)『わしは鉄砲打ち八段なんだ』と自分のセンスに酔いしれるまなざしを極度に放ちながらポちに「鉄砲について」の話をこないだなんか5時間ぐらいたれていました。

山でのポちの仕事的役割はおぢいさんが8段の腕前で仕留めた(命中率2.1%・・・低っー)鳥やいのしし、ウサギやカメ、たぬきと赤いきつね、あとコイとか・・を口でくわえて取ってくると言う極めて単純かつベタな面白さのかけらも見えない普通の営業の外回りでしたが、あとやることがないので仕方なく楽しそうな感じ をよそおってまでやってました。

おぢいさんは少々ボケ気味のところがあり(高2の2学期ころから)ポちのそんな悩みなんかにゃこれっぽっちも気づいてはくれません。でも、メシを食わしてもらってるという恩義を片時も忘れるコトのない仁義あふれるポちでした。

獲物なしのまま夕方になりました。今日はどうしても獲物が欲しいらしく「こうなった以上今日の獲物は大穴の鹿しかナイッ!」おぢいさんは少し妙な含み笑いをかみ殺して3回リピートしてポちの方をチラチラ見ながら言っていました。笑うところなのか際どいところなので、とりあえず『ワンワン』と吠えたぐらいにして二人は鹿さんチームを追

い続けました。

途中、ほどよく育った熊とで出くわしましたが、「今日はシカしか捕らんっ!」とか言っちゃってやたら頑固さをアピールしてました。「シカ・・しか・・捕らん・・」ポちはもう吠えないコトにさっきからしてました。っていうか疲れてました。(この世の全てまでも)

結局二人は海の方までやってきましたが、って『海にシカがいるわけねぇだろぅ』の気持ちを5ピコグラムでけ目線にのせておぢいさんの方を見ました。

おぢいさんは今まさに地平線に落ちていく夕日を観音様のような表情で見つめていました。

そして、ポロリとお涙をお流しになられました。

ポちはびっくりして『おぢいさ・・・』と言いかけた時『ハッ』とわかってしまいました。

シカの足の付け根の脂っこい所の肉がたまらなく好きだったおばーさん。。日本脳炎をこじらせて死んでしまった日がちょうど1年前の今日だったことを・・・。つづく感じ・・・。

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 「ポちの超短編小説〜初恋版2001年6月号リバイバル〜」

 最近ポちは、いっつも同じ事ばかり考えています。「ハァー」とため息をつきまくっています。1日2万回強です。その理由は、さっきから同じコトを何回も書きますが(書いてないけど)、トメ吉んとこのロングヘアーミニチュア土佐犬のヨシ子(犬)の事が頭から離れず、恋の病におかされちまったのでした。ヨシ子のことは前から知っていました。いくらミニチュアかも知れないが、土佐犬だしな〜とハナにもかけてもいなかったのでした。 そう、あれは2週間前、ピクニックから帰ってきた夕暮れ時のコトです。ヨシ子が何やら、ひろし(金持ちんとこのドーベルマン犬の女たらし)となにやら言い争っているようです。「遊びだったの」と土佐犬ヨシ子はひろしのカモシカの足のような首めがけて、ランニングエルボーを一発さくれつさせていました。ひろしは、これっぽちもダメージないぜ風にうすら笑いを浮かべ、「あばよ」と思いっきり走って逃げていきました。

ヨシ子は、ぼーぜんとたたずみ、こぼれ落ちた涙をぬぐおうともせず、すごいぎょうそうでひろしのだんだん小さくなる影を見つめていました。その顔のサプライ度とホラー度は、ピーク時で1ドル92円52銭までドル安でした。ヨシ子にとって初めての恋、略して初恋でした・・・。そんなウブで純でブスなヨシ子を、ひろしは竹をまっぷたつに割ったようなすがすがしい気持ちであっさりと捨てやがったのです。(なんか悪くないような気配もあるが)その日からヨシ子は1日2000回強、いたずらメールをしまくりました。(犬のくせに携帯持ってるし) サツに足がつくぐらい出しまくりました。ドクロマークなんか、1回のメールに最低13コは入ってます。そんなヨシ子をポちは見てられず(ってずっと見てたんかい、メールの中身とか) 「いいかげんにせんかい」「パシッ」みたいなかんじでヨシ子のほほを張り手してました。びっくりしてヨシ子は口を半分強、開けたまま、ポちを見つめていましたが、くずれおちるようにポちの胸というか背中の横あたりにしがみつき、またもやすごい形相で泣きはじめました。ポちは高倉ケンのようにだまったまま、背中の横あたりのヨシ子の頭をペロペロとなめて、なぐさめたのでした。たしかにヨシ子は土佐犬だ。でも女なんだ。男が守ってやらなきゃだめだ。 なんか自分でも説明つかない感情が、ふつふつと沸き起こる何かに気づき始めていました。 ヨシ子はひとしきり泣いた後、「ごめんね。涙で背中の横のあたり、ぬれちゃったね。」と急に走り出してふり むいたと同時に「ありがとう」って手を振って帰って行きました。濡れていたのは涙×15倍の鼻水だったってコトは乾いてから知りました。

 「ハァ〜 ヨシ子に会いてぇ」 イメージが専攻してヨシ子の顔はハリウッド女優のごとくキラキラと輝く藤原紀香になっていました。 「よしっ、会いに行こう!」ポちは決心してヨシ子の家まで息つぎ3回でたどり着きました。 しかし、そこで見た光景は・・・  次号に続くと思いきやこのまま続行します。(そうなんだぁ〜)

そこで見た光景は、なんとまったりとした雰囲気の中にもなんぴとたりとも入ってはいけないようなひろしとヨシ子二人の世界が広がっていました。 ヨシ子は今までに見た事も無いような妖艶な表情でひろし野郎にまとわり付いていました。 ポちにはまだわからない大人の世界。。。見てはいけないものを見てしまった小5の2学期のようにポちは息つぎ1回で自宅に帰ってきました。初めて女に泣いて抱きつかれ女のにおいに己を忘れ、高倉ケンに酔っていた自分がみじめでした。泣きました。オフコースさえ流れていました。 そして涙も枯れはてた時、ポちの心は、また1つ大切なものを知ったような気がしていました。ーおわりー  ポちシリーズまたやって行きますよ〜お楽しみに〜  お便り待ってるぞー staff@vowsmode.com

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「二人で泣いたよね、その倍笑ったけどね。」2003/8/21

「人間のたどり着く先がそんなところじゃ悲しすぎてお釈迦様でも気がつかねぇよ・・・。」2003/7/31                                                              

今回はパート1です。パート4ぐらいまであるのでお楽しみにーーーー。

お便りくれてもよくてよ。メールをくれた国民の中から抽選で1名の方に、プライベートメールアドレスをお知らせします。(知りたくもないよという声が若干聞こえてますがそんなことはどうでもいいです。)             

1997〜1999年 作品分メッセージキャッチコピー特集

自分の胸にナイフを刺してもその人を守れますか。 』

一番大切な人がいます。それは、家族であったり恋人であったり。とにかく大事な人なんです。その人のために自分の命を落とすことになっても守りたいがためにとっさに行動してしまう人をうらやましいと思います。

我が子を食らう虫達の切なさを考えたことがありますか。 』

常々、虫たちは謙虚だなぁと思います。何を考えてるのだろう。自分に与えられた使命だけをまっとうしてる姿は偉いと思います。人はある種なんでも食ってます。自分の子供は食いません。虫は食います。自分の子等を・・・。

急がないと大人になっちまう。

その若い純粋な想いは何物にも変えがたく尊いもの。大人になりたい人、なりたくない人、なってしまう人。急げよー。今言わないと後悔するぞー。はやくぶつけてしまえー。いいじゃないかうまくいかなくても、その行動は間違っていないのだから・・・。

大体、83.5%ぐらい。

100%はいらないのよ。このくらいでいいのよ。『大体』と言ってるくせに『・・ぐらい』と言ってるのに小数点第一位まで計算してるところがニクインだよ。まじめにふざけた感じがいいのよ。

信頼の狼狽や 裏切りの安堵感。

信じることは辛いです。いっそ裏切られたり、捨てられたりの方が楽だなと思うことがあるでしょう。ときめいたり、落ち込んだり、怒ったり、笑ったり、いろいろなきゃつまんねだろがぁー    

それが どうした、

人間関係、仕事、金、恋愛、様々な問題をそれぞれ抱えて生きてます。問題その1と考えて取り組めば案外答えはでるものですが、解決しなきゃいけないのかぁーいちいち・・・。問題と思わなきゃいいんだよね。

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『マリーノシタノタカラモノ』作文・佐々木和美

 「生まれ変わりってしんじる?」

 禁酒五日目の山崎涼子は、ウーロン茶のジョッキを口に流し込む直前に横目半身こっちに向けて急に話題を変えた。そうだなぁと、カウンター左隅三角コーナーに設置されたTVに映る「トゥナイト」の風俗シリーズを見ながらもずく酢を一口入れて答えた。  涼子は都内某女子大に通う一年生。色白で、小柄、少し強めのパーマが肩の下まで動いている。一見、女優の誰かに似てる雰囲気を持っていないことも無くまあまあモテルほうであることは自分でも言っている以上多分そうなのだろう。ほとばしるほど明るい性格は多少疲れるが決して悪い気はしない・・・。  あっけらかんとしているが勘が良く頭はかなり切れるやつだ。医者になるはずだったらしいが、高2の夏になんかの影響で「探偵」になる決心をしたらしい。  学校帰り、週4日は事務所(山崎蓮次探偵事務所)に顔を出す。勝手にね。ま、実際暇だし、月に2〜3件依頼があればいいほうだ。「探偵たるもの・・」について涼子の質問に答えるやら、珍事件の話やらで結構楽しくすごしている。   私とは同じ名字だが、親戚でもなんでもないし、もちろん恋愛感情なんてのは微塵もありゃしない。  「卒業したらここに来てもいいわよ」と、頼んでも無いのに勝手に決めてるみたいだ。ナンカ腐れ縁的になってきている。

 「たまにはゴハンぐらいおごってくれてもいいいんじゃない?」  貸しがあるんだから・・・の目線がしこたま出ている。半ば強制的にここ、「居酒屋ももたろう」のカウンターに連行されている。  「なんかの本で見たんだけど・・・」と涼子は話し始めた。

 アフリカのどこかの貧しい町にとても仲良しの二人の男の子が住んでいた。ジョージはアランの1つ年上ということで積極的に遊びの方法を教えていた。 たまにいじめられるけどアランはジョージのことを本当の兄のように慕っていた。  ある日、「タイムカプセルごっこしよう!」ということで。二人は大切にしている綺麗な石や、変な形の木の実、なんかの角の破片、二人にはとっても価値のある宝を持ち寄って土の中に埋めた。  「二人だけの秘密にしようね。」 アランはウィンクをしてジョージに微笑んだ。

 それから何年か経ち二人は立派な青年に成長していた。働き者の二人は人気者だった。仕事の帰りは酒場で歌い、踊り、笑い、貧しいながらも楽しく暮らしていた。相変わらずジョージはアランのことを本当の弟のようにかわいがっていることは仲間のみんな、知っていた。  酒場の一人娘シェリーもそんな二人が大好きだった。ジョージは考えていた。アランはシェリーのことをどう思っているのだろう。二人はお似合いだ。 ジョージは二人の恋のキューピットになることを決心し、日増しに二人はお互いの存在を意識するようになっていた。  「ジョージ・・俺、シェリーにすきだって言っちまった・・。どうしよう。」  「やっと言いやがったな,この野郎!」「大丈夫、シェリーはお前のことが大好きなんだから・・。」  ジョージはアランの首にヘッドロックしたまま心のそこからよかったなと何回も叫んでいた。 その夜は世界で一番楽しく酒を飲み、結婚の前祝いは明け方まで続いた。  「じゃなアラン。明日は休みだ、ゆっくり寝ろよ・・・・。」  「うん、ジョージもな・・」これが、アランとの最後の会話にだった。  アランの体は先天性の病気に蝕まれていたのだった。次の日、眼を覚ますことなくアランは逝った。  ジョージは病気に気付かなかった自分を責め立てていた。来る日も来る日も酒を浴びるようになった。仕事もほとんど休んでいた。  そんなジョージのそばにはいつも笑顔で慰めてるシェリーがいた。シェリーの優しさはジョージを変える力を持っていた。  こんなことではだめだ。 アランに笑われる・・  シェリーとの間に男の子が生まれたのはそれから五年後のことだ。 「アラン」と名付けた。  ジョージは前にも増して働いた。働き者のジョージが帰ってきたと仲間は喜んだ。  みんな、シェリーのおかげだ。 一生大切にすると心に決め三年前にジョージから結婚を申し出た。 シェリーは涙を流し・・・ 続く・・・・

 

2歳になったアランは最近よくしゃべるになった。そんなある日昼休みで家に帰ったジョージは耳を疑った。 「タカラモーミタイ」・・・ ジョージはアランの小さい肩を両手で握り締め、鋭い視線でアランにゆっくりと聞き返した。 「今、ナンテ イッタ・・・」 アランは天使のように微笑みながら、その言葉をはっきりと言った。 次の瞬間ジョージは泣き崩れ 「アランーーーーーー」と叫び息子を強く抱きしめていた。 ―『マリーノシタノタカラモノ・・・』―   子供の頃、二人はいつも小高い丘の大きな木 の下で遊んでいた。そして、二人は「タイムカプセルごっこ」で自慢の宝物をこの大きな木の下に埋めたのだった。その大きな木を「マリー」と呼んでいたのは自分のほかにアランしかしらない。 二人で勝手に付けた名前なのだから・・・・  「どう、いい話でしょう。これが生まれ変わりじゃなけりゃ何だというの?」

 近年、いつごろころからか分からないが、戸籍や病院のカルテなどきちんと管理されてるワケだから誰がいつどこでなんで死んだかなんてかなりの確立で分かる時代だ。小さい子供が突然ワケわかんないことを言い出したとしても誰も耳を貸すことは日常の中では難しいが、もしかしたら前世の記憶が少しだけ蘇える時期があるのかもしれないし、子供の体を通して「何か、メッセージを送っているのかもしれない。運命は偶然ではないのかもしれない。  ― 出会いの全てが・・・―

 「私と山崎さん結構気が合うと思いません?」 心の中を見透かすように涼子は唐揚をグサッとさしながら言った。 「結婚する運命かも。偶然二人とも山崎だし、ちょうどいいじゃん。」 と、2%ぐらいマジな顔で言った。6%ぐらいドキリとしたが「冗談よぉー」と肩を思い切りたたかれ、涼子の豪快な笑い声が店内に広がった。                             ―おわり―

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  『 ポちのむかしばなし』   〜むかしマジで飼っていた、たまという犬〜

 

子供のころ、犬を飼ってました。とても、仲良しでした。名前は「たま」です。猫かよ!とおもわれがちのひともいようかと存じますがはっきりいってのれでかい雑種の犬です。茶色の美しい毛並みは馬かとも思われ幼い佐々木少年の隣で必ずお座りをし家来のような雰囲気をかもしだしアルバムに所狭しと写っております。佐々木少年は刀とか持ったりしてやたら威張っています。やれやれといった風にも見える「たま」の表情は俄然お母さん的情緒があふれんばかりのてんこもりです。

本当は人間に飼われているふりをしているのかも知れません。犬は。人間の能力をはるかに超えたするどい鼻などもちながらこれといって威張るわけも無く、なんという謙虚なやつでしょう。(っていうか口いえねぇんだよ)

ただ、ご主人のそばでひっそりと生きている。

人間は文明・化学・教育・欲望何でも発展、進化しこれからもっともっとその勢いは衰えないかもしれない。でも犬たちは昔から犬なのだ。決して便利な生活は欲していない。ただそのままに生きている。人間のそばにいながら人間ウィルスが移るのを恐れていながらも私たち人間に多大な癒し的効果をあたえて今日も生きている。

 

        おわり

 

 ポちのひとりごと 「お手って言われても 足なんですけど・・・。」  By ポち

 

『 ポちのむかしばなし』  昔、むかし、おじいさんとおじいさんが住んでいました。 あやしいね・・・。  おわり        

 

短編小説 『欲』  作・佐々木和美  「ふいらぁ連載リバイバル版」 

「それよかったら あげるよ。」お前そんな、気前いいやつだったっけ・・・と思わせるくらい、最近の村木シゲルはすこぶる景気がいい。 この前は「タイ」の土産だと言って、なぜか時計。今回は、見るからに高そうではあるが、はっきり言って私の趣味ではない金色のライター。「安物だから気にすんなって。」別に気にはしてないがどこか尺に障ったので遠慮なく頂いたのだった。 村木とは、小学校から高校までずっと一緒だった。いつもつるんでいた訳ではない。俺はバンドに明け暮れていたし、アイツはいはゆる不良グループと言われるやつらの部類で、女からモテル度数からいくと6:4で俺が勝っていたはずだ。グループの中でも格があり村木はかろうじてトップ3に入っていたと記憶にある。 あれから10年以上経ってるが、俺たちは腐れ縁的にたまにだがこうして会っている。というか、村木の方から合いに来るのが9割である。少し図々しさはあるが、どこか憎めないところがあり退屈な時間をもてあましてる時はけっこう笑わしてくれる。 仕事を転々とし、定職に就かないのか就けないのか定かではないが、彼は常に,「ビッグになってやる!」が飲むと口癖の独身野郎31歳なのだ!そんなヤツの最近の暮らしぶりは、はっきり言って変だし何処にそんな金があるんだ?と誰もが思うはずである。 そんなある日、村木からの電話はかなりあせっているらしく、早口でナニ言ってるのか理解できなかったがとにかく、頼まれることになった。1時間後血相を変えた村木がドアを壊す勢いで倒れ込んできた。、ダッシュで階段を上って来たことが赤ら様に分かる息使いで「これを預かってくれ。頼む」 と、ドデかいスーツケースをPタイルの剥げたコンクリの床の上に放った。中でなにかジャラジャラとうるさい音がしてケースは動きを止めた。「なんなんだ?何が入ってんだ」

鍵が二重に掛けられており、絶対中身は見せないぞ!という意思が丸出しのケースを指差しながら聞いてみた。「たいしたものじゃないが、中身が何かは詮索しないでくれ。おまえに迷惑掛けたくないんだ。」『だったらおれんとこに持ってくんなよ』とは言えなかったのは、お土産攻撃のせいもあったかもしれない。「クスリ関係じゃないんだな?」と念を押し、「全然違う」と言ったと同時にヤツの携帯がなり、「じゃ頼む、近いうち必ず取りに来るから」といいながら、村木ははやてのように去っていってしまった。・・・ スーツケースを部屋の隅に足で押しやり、ビデオの続きを観る為にリモコンの三角ボタンを親指で押した。34インチの大画面が最近の仕事のもやもやをすくなからず消してくれてる感じはアル。20坪の二等辺三角形のこの事務所兼住居。ベッド・ノートパソコン・1人掛けソファ・事務用長いす・先週コジマから買ったTV。

ここに来て5年。最近やっと、探偵として食えるようになった。 そして、一週間後に事は起きた。 続く・・・・

 

朝食は摂らないが牛乳は1リットル飲む。そして、トイレで新聞を見ながら昨日のビールを出しまくる。(たまに目にしみる事うけあいだ)『んっ、・・村木?』 新聞の事件欄に彼の記事が出ている。何者かにナイフで背中と腹2箇所刺され、死んでいた・・・凶器のナイフはそのまま2本刺さったままの状態だったと・・・。    「前と後ろから刺されたか・・・」 村木から預かったスーツケースの中身が原因で起きた事件であることは間違いなさそうだ。急いでウォシュレットのボタンを押し、トイレから出た。 スーツケースは頑丈にロックされており中身をこの目で見るのに40分もかかってしまった。開けてびっくり・・・プラスチックのプレートの山・・・なんじゃー? パチンコの景品、現金と交換する、あれである。ケースの底にはこれを製造するためのものと思われる原版みたいのとフロッピーがしっかりガムテープで固定されていた。この原版・・・があればいくらでもコピー出来るって訳か・・・。最近の村木の景気の良さはこれだったのか。よく考えたもんだと感心しながらソファーに腰を下ろしプラスチックのプレートをまじまじと眺めた。確かに本物そっくりだ。てゆうか、本物だ。本物だってどっかで人間がつくってるわけだし、こんなプラスチックの板ぐらい簡単に作れるだろう。まさか中に磁気センサーとかはいってるわけじゃあるまいし・・・。んーいいところに目を付けたな。 大体の筋書きは、村木の「独り占め欲出し作戦」がばれ、仲間割れによる殺害。まーこれしかないだろう。仲間が探してるのはこの原版とフロッピーだ。  しかし、なんかセコイ気がするなぁー。村木が言っていたビッグになるっちゅうのはこういうことだったのか・・・。あいつならこう言うだう、「手始め、手始めっ!」 手始めで死んじまったんじゃどうしようもないじゃんって感じだが、まぁかなりのいい思いしたんだからほんもうかもな。欲は出しすぎると痛い目に合うっちゅうことを身にしみてわかっただろう、天国で・・・。(地獄かも)さて、この景品、どうするかな・・・。 とりあえず、1日3万ずつの交換で勘弁してやるかぁー・・・。  −おしまいー この作品は全てフィクションです。お便り・ご感想・文句等メールにてお待ちしております。                                           staff@vowsmode.com

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